めいこいFDプレイ感想
2020/02/10 カテゴリー:感想 タグ:明治東亰恋伽,ゲーム
「明治東亰恋伽 トワヰライト・キス」をプレイしました。
全員クリアとなったので感想を書いてみたいと思います。
まずゲーム全体の話。
「明治東亰恋伽」の続編というよりはFDという印象のゲームでした。
すでに恋人、夫婦となっている状態から始めるので、かなり甘めでイチャイチャしてくれます。
本編をクリアして各キャラクターが気に入ったのなら、それだけでニヤニヤできる内容かと。
でも全面的に楽しめたわけではなく、マイナス要因もありました。
とくにVita版のFullMoonから始めてしまったため、立ち絵や背景のクオリティが残念なことに。
VitaにDLしてプレイしたら、色々粗が目立ってました。
解像度が低いのは仕方ないにしても、デバッグなどの細かいミスも気になってしまい、ゲームに集中できない部分も。
Vita版は色々ブラッシュアップされていたのだと実感します。
物語としてもかなり気になる点がありました。
まず誰かのルートに入った時の、他の攻略対象キャラの取り扱いです。
例えば鴎外さんを選んで話を始めた場合、本編では音二郎&鏡花の二人がちらりと顔を出す程度でした。
それも音二郎さんは「音奴」として出てくるのみで、芽衣ちゃんは音二郎=音奴とは知らないはずです。
鏡花さんもわずかな接触があるのみで、詳しい話をせずに逃げてます。
そんな状況なのに、「トワヰライト・キス」をプレイしたら、音二郎・鏡花・八雲・藤田と全員交友がありました。
しかも音二郎さんが音奴だと知ってるような口ぶり。
いや、最初の鹿鳴館でろくに会話もしてないのに、いつの間に仲良くなってるの。
鴎外さんだけではなく他のルートも同じ様な状態になっていて、そこが引っかかってしまいました。
「続編」として期待していたけど何か違う。
本編の内容から逸脱している「世界線の違う」話になっているような感覚です。
そこは残念でした。
確かにお話を一本作るなら、他のキャラクターを出した方が便利です。
話も動かしやすいし、お祭りゲーとして盛り上がるしね。
でもそれならいつ仲良くなったのか、詳しい経緯を入れてほしかった。
既に誰かと恋仲になっている状態で別のキャラクターたちとゼロから別の形の関係、友情を築いていくのも、それはそれで美味しい流れだと思うんだけどなぁ。
しかも同じパターンではなく、それぞれのルートによって違っていたりすると面白そう。
「ご想像にお任せします」ってことなのかな。
それとも二次創作で穴埋めしておけ、ということなのか。
全体的に話が短い、ボリュームが少ないという批評も目にしました。
それぞれのルートに物の怪絡みの事件が勃発するも、解決は案外あっさりしてる、とかね。
私個人としては妥当な長さだと思います。
あまり長引くと二人のイチャイチャを楽しめなくなってしまいますし。
恋仲になる前ならともかく、想いが通じた後なら尚更かもしれません。
イチャイチャを期待してプレイしてるのに、物騒な話ばかりされてもアレですし。
物の怪に乗っ取られて別人になってしまった相手とイチャイチャされても嬉しくないし。
丁度良い案配だったと思います。
ついでに言うなら明治編の話ばかりだったので、そこは現代編のおまけもつけるべきでは?
温泉小旅行みたいなノリでもいいからさ。
それなら容易くボリューム増やせるのに、と思わないでもないですが。
色々文句いいつつも、イチャイチャは楽しかったです。
おまけも「画像鑑賞」の他に「思ヒ出鑑賞」なるものがあって、短いながらダミーヘッドシーンを振り返ることができます。
これはかなりありがたい。
FullMoonの方には思い出振り返り機能がなくて、物足りないと感じていました。
「あの場面をもう一度見たい」と思った時、おまけから見ることができるというのはかなり便利です。
無いのであれば本編をもう一度見たらいいんだろうけど、さすがにちょっと手間だし。
ピンポイントで見つけるのも大変だし。
めいこいはダミーヘッドマイク収録音声が売りなわけですしね。そこは推していかないと。
一度プレイした後はおまけを見て思い出に浸りたいタイプなので、他の作品でもおまけが豊富だとわくわくします。
「トワヰライト・キス」のおまけも堪能させてもらいました。
でもフリートークまでダミーヘッドなのはちょっと落ち着かなかったかな。
イヤホンなどを外して再生すると音声小さくなってしまいますし。
物によっては聞きやすい媒体の方がいいな、と思う次第です。
ここからはキャラクター別感想です。
森鴎外
鴎外さんと芽衣ちゃんで探偵コンビ組んで事件解決するのが良かったです。
物の怪がらみだけではなく、ささやかでもいいから事件解決の流れをもう少し見たかったです。
相変わらず饅頭茶漬けになると脱線しまくってましたが。
ギャグネタとして面白いのは最初の一回くらいで、頻繁に出されても食傷気味です。
いい加減、はっきり言った方がいいと思うんだけどなぁ。
食の不一致は地味にストレスになるし夫婦なら話し合わないと……とか余計なこと考えてしまいました。
鴎外さん一人が好んで食すならともかく、周囲に押しつけるのは良くない。
「饅頭茶漬けさえなければいい人なんだけど」とか、ちょっと笑えないかも。
とくに芽衣ちゃん、肉大好きで食べ物になると目の色変える子だしね。
健啖家とまでは言わないけど、二人でもっと美味しいもの食べてほしいです。
ついでに藤田さんから「軍医殿の奥方」扱いされてるのが個人的に良かったです。
菱田春草
すでに恋仲になっているので鴎外さんに暖かく見守られつつ、仲の良い二人が見られて嬉しい。
春草さんが芽衣ちゃんをからかって、なおかつイチャイチャしているのが良かったです。
芽衣ちゃんの方から「もっと慌てたり赤くなった春草さんが見たい」と言われて「いつも見てるだろ」と反論する流れが好きです。
お互い「自分ばかり好きで振り回されてる」と思ってるし、嫉妬もするし。
それ以上にお互いを大切に思っているからこそ、自分を犠牲にすることも厭わない。
そんな話を堪能させてもらいました。
でも、だからこそ芽衣ちゃんが「別れ話」と勘違いする話は腑に落ちない。
なんでそんな勘違いさせるんだろ。
あれは必要な流れだったのかと疑問。
故に昼エンドは納得できず、夜エンドの方がすっきりしてて良かったと思ってます。
もちろんイチャイチャはどちらも良いのですが。
ついでに先述のとおり春草さんに付喪神が乗り移る展開もありましたが、別人とイチャイチャしたって楽しくないわけですよ。
春草さんと芽衣ちゃんの二人が見たい。
温泉話は可愛くて楽しかったです。
川上音二郎
恋人になった状態で置屋に住みつつ、俳優として頑張る音二郎さんを応援する芽衣ちゃんのお話でした。
その舞台上で物の怪絡みのトラブル発生。
謎解きミステリー要素もあって楽しかったです。
ハムレットは無事に公演できるのか?!とかね。
ある程度先は読めたけど、定石通りの展開で安定感ありました。
イチャイチャはさすが大人です、色っぽかったです。
ただ、恋仲になったとはいえ手は出してないんですよね?
少なくとも置屋にいる間はキスだけ……なんですよね?
手を出したら一発でバレますよ、襖と障子が基本の日本家屋な上、女性ばかりの集団生活なんだから。
なのにもう既成事実成立したかのような関係に見えてしまう……。
もし本当に手を出してないのなら、音二郎さん相当の我慢強さだと思うのですが、その辺どうなんでしょうか。
私はどちらも有りだとは思うのですが。
芽衣ちゃんが音二郎さんを抱きしめていたスチルがとても好きです。
腹で男を泣かせることができたら一人前、だそうです。
泉鏡花
今回は様々な物の怪が関わる展開が容易されてますが、一番幻想的な内容でした。
しかも今回は神社の神使が出てくるし、神隠しにも遭います。
鏡花さんにとって不運だったのは神使が犬だったことでしょうか。
とても可愛い狛犬ですが、例え神使だろうと物の怪であろうと鏡花さんにとっては鬼門のようです。
試練を乗り越える、というのがテーマだったかもしれません。
それは物の怪事件を解決するという意味でも、二人の行く末に関してもそうでした。
鏡花さんは芽衣ちゃんとの結婚を師匠に許してもらうよう、努力を続けてました。
確かに身元不明の芸者風情なんて、妾にするならともかく奥方にはおすすめできませんよね。世間的にもね。
そこを納得させるために努力している、というのが良かったです。
ある意味正統派な流れとも言えるかもしれません。
例えば春草さんも良い家の出ですが、芽衣ちゃんとの結婚には鴎外さんの「口添え」があって難なく成立しているだろうと推察できます。
ある意味チートで障害取り除いてる、とも言えます。もちろん、春草さんの場合はそれで良いんだけど。
そこを自分たちの力で乗り越えようとしているのが、鏡花さんと芽衣ちゃんらしいなと思うわけです。
温泉話もめちゃくちゃ可愛かったです。
藤田五郎
すでに夫婦となった後の二人が事件に巻き込まれてしまう展開でした。
それはそれで面白かったけど、初っぱなから「離縁」ネタが出てきて正直……。
いくら芽衣ちゃんが素っ頓狂な思い込みする子だからといって、突飛すぎやしませんか。
自分に自信がなくて不安というのは判るけど、相手のことを信じてないって事にもなりますし。
しかも、そこまで疑っておきながら呉服屋に到着して吹き飛んでたし、その後伏線になってるわけでもないし。
何を考えてそんなネタを入れたのかな、とは思うのですが。
大筋では藤田さんが過去に捕らえた犯罪者が復讐を企む展開で、なかなかスリリングでした。
最初は惑わされてふらふら踏み込んでしまう芽衣ちゃんですが、いざ捕らえられたら自力で抜け出すなど胆力見せてくれました。
思い込み激しい芽衣ちゃんが成長する話、とも言えるかもしれません。
警察官という以上に辛い過去をもつ藤田さんを支える妻の自覚がしっかり植え付けられる話と考えると、とてもしっくりきます。
FullMoonのおまけにある「大晦日話」にも繋がりますよね。
妻なのに「藤田さん」呼びなのも、後々大晦日になってからようやく「五郎さん」呼びになるのかな、とかね。
ただ、純然たる続編と思うには、他のキャラクターの友好度が妙に高いことが気になります。
本編の鴎外さんや春草さんは鹿鳴館のことを覚えてない様子だったし、音二郎さん鏡花さんなんて一切関わってなかったし。
あの鹿鳴館で厳しい叱責を受けていた子が奥さんになるとか青天の霹靂だし、藤田さんなんて大いにからかわれたりするでしょうに。
その辺のやりとりを詳しく伺いたいのですが。
最後に新撰組話も出てきて興味深い内容になってました。
ですが、永倉さんご存命のはずなのに触れてないのが気になります。
……やっぱり二次創作で自己補完するしかないのか。
小泉八雲
今回は二人が結婚する前の許嫁状態として物の怪事件に巻き込まれるお話でした。
雪女に見初められた八雲さんと芽衣ちゃんが物理接触できなくなるという展開。
八雲さんの女性関係によって振り回される話、とも言えるかもしれません。
勝手に気に入られてしまったとはいえ、雪女の登場で八雲さんと芽衣ちゃんとの間に暗雲漂ってしまうし。
かと思えば、過去に八雲さんと心の繋がりのあった女性によって救われるという。
珍しく芽衣ちゃん以外の女性が多く登場していたように思います。
例えば音二郎さんは人気役者だから当然ファンはいるし、今回キャーキャー言われる場面も出てきましたが。
二人の間を裂こうとするキャラの登場は今回が初めてではないでしょうか。
八雲さんが芽衣ちゃん好きすぎるので、他に障害がないという事情もあるかも知れません。
いくら物の怪大好きっ子とはいえ、闇雲に接触するのは良くないということですね。
最終的には二人の結婚式まで登場してました。
藤田さんが媒酌人になってくれたのも良いです。
なんだかんだと二人を見守ってくれていて、ちょっと嬉しいです。
チャーリー
以前の感想で、どうしてチャーリーだけが大きな力を持つ物の怪なのかと書きました。
今回プレイして、彼はどうも付喪神ではなく神使ではないかと考えを改めました。
鏡花さんが別れの直前「付喪神」と言ってたから、それをそのまま額面通り受け取ってました。
でもそれだけじゃあの力の説明にはならないですよね。
神使と考えるなら納得です。
作中、大いに力を振るって本体も表してましたしね。
鏡花さんの所にも狛犬が出てきましたが、寂れて朽ち果てた神社の狛犬と現役商売繁盛神社のお狐様では格が違うのかな、とか考えてました。
しかしやっぱりチャーリーさんと明治に残るのはまずいと思う。
現に無理があるからこそ芽衣ちゃんはあちら側に呼ばれてしまったわけだし、「いつかこちら側に来る」と言われてしまうし。
その上、二人のやってる事が理にかなってません。
チャーリーさんは衆人環視の中、しかも藤田さんの目の前で芽衣ちゃんを消す(かっさらう)というマジックを行ってしまう。
芽衣ちゃんは肝心なときにチャーリーさんを頼らず、無知故に禁殺扱いにしてしまう。
明治の世で生きようとするどころか、ブチブチと自分たちの行く末を潰しているようにしか見えません。
自分たちで生きづらい状況に追い込んでどうするのかと。
いつまでも鴎外さん春草さんの所にいるわけにもいかないだろうに。
最後の方の芽衣ちゃんは、死んだ後の話をしてるし。
現代戻るエンドで「長生きする」と言ってたことを考えると、あまりに違いすぎます。
そもそもお狐様って願い事の叶え方がエグい印象があります。
例えばお金が欲しいと願って実際に手に入っても、それは大切な家族が犠牲になった結果の死亡保険金だった、とか。
つまり願いを叶える代償、引き換えを勝手に設定するイメージがあります。
そう考えると芽衣ちゃんの願いの代価は自分の命、なんてことにもなってしまうのではないでしょうか。
本編の現代戻るエンドでは他の物の怪たちの声が一切聞こえなくなっているので、彼らの力を代価にしてるっぽいですが。
それはそれでどうかと思うけど。
結論、チャーリールートはドラマ版が一番ハッピーだった、ということで。
いやでも、ほろ苦エンドも好きなんです。
キャラクター死亡ネタも嫌いではありません。
ロミジュリとか、人魚姫ネタとか。
カップルの片割れが永遠にいなくなって、哀惜と悲壮に立ち尽くして涙……とか。
後を追いかけるように消えてしまうとか……。
たまに二次創作で書きたくなる衝動にかられます。
もちろん、その際はフィルターと注意書きしますので。
閲覧は自己責任でお願いします。
……何やら二次創作する前提で感想書いているような気がします。
というか、直接描写されていない事が多くて、つい想像を巡らせてしまうんです。
いつの間に仲良くなったんだよ、とかさ。
そういうのがきっかけで二次創作書きたくなってしまうのかも。
いっそ罠を仕掛けられている気分です。
想像の余地があるとそこを埋めたくなってしまうのは、同人者の性なのでしょうか。
本当に何かアップしたら笑ってください。